eラーニング動画の脚本の作り方
今回は、eラーニング動画の脚本の作り方について、具体的な方法やコツを解説していきます。
eラーニングの動画は、視聴者は体系的に学びを得ることを求めています。思いついたことや、考えたことを、まとまりもなく話していくだけでは、良い動画にはなりません。
eラーニング動画の脚本を、より良い形で作れるようになるために、知っておきたい基本的な考え方やコツを、お伝えしていきます。
1:テーマを決める
最初に行うことは、テーマを決めることです。「何について伝える動画にするのか」という点ですね。これは、きわめて重要なポイントの一つです。
1分300文字と考えて、15分~20分以内の長さで収まるか
eラーニングの動画の長さは、1本あたり15~20分程度がベストな長さだと言われています。視聴者の立場になって考えれば、確かに30分も40分もあるような動画だと、気軽に視聴することは少し難しいですよね。30分以上の動画を見るとなると、少し身構えてしまいます。
かといって、数分程度で終わってしまう動画でも物足りません。Youtube等で見る無料動画ならともかく、お金を払って学びを得たいと考えた時、その内容が1講座5分程度だと、損をした気持ちになってしまいます。
こうした点から、eラーニングの動画の長さは、1本(1講座)あたり15~20分程度が良いとされています。
ナレーションは、原稿の文字数300文字程度が、ちょうど1分前後となるのが目安です。よって、4500~6000文字程度が、ナレーション原稿の文字数の目安になります。このぐらいの長さで収まる内容かどうかを、ある程度見積もってテーマを決めていきます。
興味をもってもらえるテーマか
テーマの選択にあたっては、「興味を持ってもらえそうか」という点も重要です。誰も興味を持たない事柄について、eラーニング動画を作っても、購入者はほとんど現れないでしょう。どういった人が、どんな理由で、興味を持つであろうテーマなのか、しっかりと下調べをした上でテーマを選んでいくことが重要です。
「どこにでもある情報」で終わってしまわないこと
弊社では、オンラインコースやeラーニング動画の制作も行っていますが、その際、慎重に確認している事柄の一つが、情報の有益性と独自性です。
簡単に言ってしまえば、「どこにでもある情報」で終わってしまわないか?という観点になります。
たとえば、あるクラウドサービスの活用術についての動画を制作する場合、「この内容は、公式のマニュアルを見ればすべて書いてある情報だけで終わってしまわないか?」「検索すれば、WEBサイト等ですぐにわかる話になっていないか?」「競合がYoutube等で無料公開している話と同水準になってしまわないか?」といった観点でチェックしていきます。
そうして、「これなら、この講座でしか学べない、価値の高い内容にできる」という確証をもとに、eラーニング動画の制作に着手していきます。
2:学習目標を明確にする
テーマの選定と同時に、明確な学習目標の設定を行っていきます。これは、完成したeラーニング動画を販売する際の、プロモーションの主軸にもなります。
「この動画講座を視聴することで、何を学べるのか」
「なんのために、この動画講座があるのか」
「学んだことが、何にどう役立つのか」
といったことを、視聴者の目線に立って、明確にしていきます。
たとえば、「eラーニング動画の脚本の作り方」…まさにこの記事のテーマですが…であれば、最終的に、「eラーニング動画の脚本を、より良い形で作れるようになる」ことを目標としています。この記事の冒頭でお伝えした通りです。
このように、動画の脚本であっても、「それを視聴した結果、何を得られるのか」を明確に決めておくことが重要です。
「ログライン」を作る
目標を明確化するひとつの方法として、ログラインを作ることも有益です。
ログラインとは、劇作技法の領域になりますが、「物語を一文で表したもの」になります。
たとえば童話の「桃太郎」なら、ログラインは、「桃から生まれた男の子が、犬と猿と雉を仲間にし、鬼を退治する話」となります。
これをeラーニングの動画脚本にも応用してみましょう。
たとえば…
・ECカートシステムのShopifyで、テーマを適用してデザインをカスタマイズするステップを学ぶ。
・EC運用におけるバックエンド業務の種類を学び、その効率的な実践方法として、ネクストエンジンの概要と使い方を学ぶ。
といったように、概要を一文でまとめたログラインを作ることで、動画の方向性や目的を明確にすることができます。
3:プロット(あらすじ)を作り、骨組みを整える
細かな内容を作り始める前に、まずプロットから組み立てていきましょう。プロットとは、いわゆる「あらすじ」のことです。
まずプロットから作るべき理由
テーマも決まり、目標も決まっているのだから、あとは最初からすぐに脚本を書き始めたほうがスムーズなのでは?と思えるかもしれません。しかし実際には異なります。
プロットを作らずに脚本を書き始めてしまうと、途中で話が脱線してしまったり、全体のバランスが不釣り合いになったりと、良い講座にはなりません。
たとえば、「セキセイインコの飼育」というテーマで、途中で「グッピーの飼い方」の話になってしまい、しかもその話で半分以上も時間を費やすようでは、視聴者が期待する動画にはならないでしょう。
こうした失敗を防ぐためにも、まずはプロットを作り、骨組みを整えることが大切です。
プロットの基本要素
eラーニング動画のプロットには、いくつかの基本要素があります。基本要素を組み合わせて、プロットを構築していきます。
《講座概要とチャプターリスト》
その動画講座の内容や、何を学べるか、といった内容を一言で話します。また、チャプターリストを示し、動画の全体像を示します。この要素は基本的に、動画の冒頭に入ります。
《~~とは》
動画で扱うテーマについて、概要を解説します。あまり込み入った話ではなく、基本的なポイントをかんたんに抑える程度の内容にまとめましょう。
《詳細解説》
概要から、さらに掘り下げた解説です。個別のポイントについて一つ一つ丁寧に解説したり、手順を解説したり、分析や考察などを加えていきます。「〇〇の流れ」「メリットとデメリット」「原因と対策」などが、よくある内容になります。
《意外な情報や、角度を変えた見方》
意外性のある情報や、すこし違った見方に立っての解説など、角度を変えた内容です。動画の中盤に、こうした少し空気の違う内容を入れることで、視聴者の集中力を保つことができます。
《具体例やエピソード、実践例など》
具体的なエピソードや事例などを紹介して、学んだ内容にリアリティを与えていきます。講座の内容が、より理解しやすくなり、具体的にイメージが掴めるようになります。
《よくある質問と回答》
そのテーマについて、よくある質問と回答をQ&A形式で簡単に紹介します。
《まとめ》
その動画講座の中で、特に覚えておいてもらいたいポイントや、軸となる要素について、改めて振り返りながら整理します。この要素は基本的に、動画の最後に入ります。
こうした基本要素を、さまざまに組み合わせて、プロットを作っていきます。
わかりやすい話から入り、より細かい内容へと掘り下げていく
どんなテーマのプロットでも、基本的には、「わかりやすい内容」から入り、徐々に詳しい内容や、高度な内容へと掘り下げていきます。
最初からあまり細かい話をしたり、予備知識が必要な内容に触れていってしまうと、視聴者は置いてけぼりになってしまいます。そうならないためにも、まずは大まかな内容や、わかりやすい話から流れをスタートさせましょう。
4:プロットに基づき、台本を書く
プロットが組みあがったら、それをもとに、実際に台本を書いていきます。この時のコツをいくつかご紹介します。
専門用語や業界用語には、必ず解説をつける
eラーニングの動画講座では、どんなテーマでも、専門用語や業界用語を使う場面が多くなります。知識がある人にとっては当たり前の用語でも、視聴者は初心者だと想定する必要があります。専門用語や業界用語は、丁寧に説明をつけて用いていきましょう。
一文が長くなりすぎないよう注意する
一文が長くなりすぎると、視聴者も理解が難しくなってしまい、ナレーターも読み上げに苦労します。とはいえ、あまり一文を短く区切り過ぎても、かえってテンポが悪くなってしまうため、バランス感覚が必要になります。テレビのニュース番組などを参考に、感覚をつかんでいくと良いでしょう。
同音異義語に気を付ける
同音異義語とは、「記者」と「貴社」など、読み方は同じでも意味の異なる単語のことです。文字で読むのなら、漢字を見れば意味を取り違えることはありませんが、動画の場合は音声のみで伝わるため、同音異義語で誤解が生じやすくなります。
もちろん、動画にすべて字幕を付ければ解りやすくなりますが、視聴者は、必ずしも字幕を全て読んではいません。全体の文脈を見ながら、誤解の生じやすい同音異義語については、別の表現に変えるなどの工夫を行っていきましょう。
満足度を高め、さらなる購入につなげるためにも
今回は、eラーニング動画の脚本の作り方について、コツとなるポイントをご紹介しました。
実際にはテーマや内容、想定する視聴者などによって、具体的な部分は大きく異なります。また、映像やスライドで何を示すかによっても、求められるナレーション原稿はまったく変わってきます。しかし、どんなテーマのeラーニング動画でも、ナレーション原稿の作成にあたっては、この記事でご紹介したコツが、共通して活かせるでしょう。
視聴者・受講者の満足度を高め、次回の購入につなげるためにも、しっかりと意識してナレーション原稿を用意していきましょう。
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