海外クラウドと国内クラウドとの料金体系の違い
クラレボのプロジェクトを始めてみて、いろいろな海外クラウドサービスを見るにつれて、国内のクラウドサービスとは違うなぁと思う点が多々ありました。まず一番初めに感じたのは、海外と国内との「料金体系」の違いです。
海外クラウドの場合は、初期費用がありません。また隠れたオプション料金というものがほとんどなく、全て月額利用費に含まれているのが一般的。中には月額の利用費すらなく、従量課金のみというパターンもあります。
例えばクレジットカード決済サービス一つとっても、海外はPayPalやStripeなどが有名なのですが、初期費、月額利用費ともに無料です。一方で国内のクレジットカード決済代行会社の料金体系は初期費用+月額利用費+決済手数料3.5%~5.0%+@40円というように、初期費を始め、月額固定の利用費、決済毎に発生する手数料が決済額に応じた従量課金でかかり、それに処理費の名目で40円が1回の決済毎のかかるのが一般的。
このように国内クラウドの場合は、大抵は初期費用があり、何かあればオプション料金がすぐに発生することになり、初めそれほど高くない印象なので、お申込みをしようと思ってお問い合わせをすると、希望内容を実現するにはオプションサービスの申込みが必要というケースがとても多くあります。
以前ペット向けスクールに相談を受けて、国内クラウドの予約システムの選定リサーチをしたことがあるのですが、国内の某予約システムは、決済にクレジットカードを利用したい場合はオプションメニューとなり、3,000円追加になるとのこと。それは一度の設定変更料のことかと思ったら月額オプションと言われて意味がわかりませんでした。
色々とお問い合わせを進めていくと、そのような形で、次から次へとオプションのオンパレード。
「アドワーズ広告出稿のために成果測定用のタグを設置をしたいのですが...」
「設置はお客様にやっていただくのですが、月額3,000円が追加になります。」
「予約時にペットの犬種や年齢のアンケートを行いたいのですが。。」
「その場合、初期費50,000円、月額8,000円のオプションで承っています。」
「会員限定メニューを作ることは出来ますか?」
「それも別途、初期費50,000円、月額8,000円のオプションで承っています。」
「メルマガ配信はできますよね?」
「月額2万円のプロプランであれば可能です。」
「広尾店と中目黒店でそれぞれ別の管理者を立てて管理できます?」
「お店ごとに管理者がいる場合の役割や権限の設定にも対応しています。ただし別途、初期費50,000円、月額10,000円の追加オプションで承っています。」
もともとの初期費は3万円、月額2万円らしいのですが、それだとクレジットカード決済もアドワーズ広告のコンバージョン測定も、予約時のアンケート、会員限定メニューもできず、クライアント担当にリクエストされていた店舗別の管理者制度もできず、ごく普通にやりたいと思うことが、ほとんどオプションになっていて、それらを合計していくと初期費が18万円、月額が5.2万円になりました。
年間で約80万円がSaaSの利用費でかかることになり、これに加えてサイトの制作費、集客用の宣伝費、いろいろ考えると、このSaaS利用費の80万円はちょっと高すぎるのでお勧めできませんでした。
特に予約システムはクラウドの中でも多機能なたぐいのサービスなのでこうした傾向は多く見られるのですが、例えばeコマース(ネットショップ)でも、定期購入コースの場合はオプションになっていたり、外部システムとの連携を行いたい場合などはほとんどが有料オプションか、あるいはNGになっていのかのどちらかです。
少し事例としては違うかもしれませんが、スマホなどのオンラインゲームは無料で始められるものの、ゲームが進むにつれて有料アイテムの存在が明らかになって、それらを購入しなければゲームの進行が大幅に遅れてしまうために、ついつい買ってしまうように出来ている事が多いようです。
それに似ていて、初めは初期費や月額が安いということで、とりあえず初めてみるものの、実際に商売をしてみると、有料オプションがないと競合に負けてしまうため、オプションを追加せざるを得なくなるわけで、もう後に引けない状況なので、渋々オプションを申し込まされる形です。
その点で海外クラウドは「隠しオプション」という存在がほとんどなく、コースでエントリーコースやライトコースとプロコース、アルティメットコースなどに別れているだけで、全て「見える化」しているのが特長で、契約社会なので事前に全てを明らかにした上で、申込をしてもらう姿勢があります。
一方国内クラウドの場合には必ずと行っていいほどある初期費用は不動産の敷金と礼金みたいなもので、敷金はともかく礼金って一体何と海外の人は思うようです。クラウドなどの初期費もそんな感覚になるそうで、まだ何もやってもらっておらず、これから契約しようとしているのに、はじめになぜそのような費用がかかるの?という素朴な疑問、確かにごもっともな気もします。
また海外クラウドは特別な場合を除いて最低契約期間という概念もなく、解約したいと思ったら直ぐに解約することが出来るという点も特徴に挙げられます。これなんかお上の指導でやっと改善した携帯キャリア各社の2年縛りを思うと、天と地との開きがあります。そのような契約で縛ることもせず、ひたすらサービスの質で勝負という感じで、これが商売の本来のあり方ではないかなと思います。