この記事の概要: オンラインレッスンの月謝を、毎月の銀行振込で受け取り続けるのは負担が大きいものです。督促の気まずさ、入金確認の手間をなくすには何が使えるのでしょうか。プラットフォーム、メンバーシップ、決済サービスを検証し、現実的な選択肢を整理します。
対面のレッスンなら、月謝袋を手渡ししてもらえば済んでいました。ところがオンラインに切り替えた途端、その受け渡しの機会がなくなります。
そこで多くの講師が最初に選ぶのが、銀行振込です。特別な準備がいらず、すぐに始められます。ただ、これを何か月か続けていると、思っていたより負担が大きいことに気づきます。
この記事は、生徒が5人から15人程度の個人・小規模の講師に向けて書いています。数十人から数百人規模の教室を想定した記事とは、必要な仕組みも、かけられるコストも違うためです。
弊社ではこれまで、海外のSaaS・ITツールを実際に契約して検証しながら、オンラインで教えている講師の方々から話を聞く機会を重ねてきました。この記事では、そこで聞いた実際の困りごとを起点に、月謝を受け取る方法を4つ検証していきます。
銀行振込での月謝集金が、思ったよりしんどい理由
銀行振込は、始めるうえでは最も手軽な方法です。口座番号を伝えるだけで運用が始まります。導入のハードルという点では、これに勝るものはありません。それでも、複数の講師の方から「銀行振込はあまり良くないと感じている」という声を聞きました。理由はひとつではなく、いくつかに分かれています。
毎月の入金確認と帳簿付けが積み上がる
生徒が振り込んでくれたかどうかは、自分で確認するしかありません。通帳やネットバンキングを開き、誰から入金があったかを照合し、記録する。ひとりあたりの作業は数分でも、生徒が10人いれば毎月それを10回繰り返すことになります。しかもこの作業は、レッスンの質を上げるものではありません。生徒のために使える時間が、そのぶん削られていきます。また、どうしても手作業での確認になりがちで、ミスが無いように神経を使うのも、積み重なると無視できない負担です。
いつ振り込まれるか分からない不安がある
振込は、生徒が行動して初めて完了します。こちらからは何もできません。
月初に振り込む生徒もいれば、レッスンの直前に振り込む生徒もいます。月末になっても入金がない場合、忘れているのか、後で振り込むつもりなのか、こちらには判断がつきません。
金額としては数千円の話です。ただ、それが確定していない状態が毎月続くこと自体が、地味に気がかりだという声がありました。
督促の連絡が、教える立場だと切り出しにくい
ここが最も重い部分だと思います。
入金がないまま日が過ぎたとき、講師の側から「今月分がまだのようです」と伝えることになります。この連絡が、非常に切り出しにくい。
理由は、講師と生徒という関係にあります。普段は教える側と教わる側として向き合っている相手に対して、お金を払ってくださいと伝える。その切り替えが気まずいわけです。相手が長く続けてくれている生徒であれば、なおさら言いにくくなります。
これは銀行振込に限った話ではありません。ただ、支払いが生徒の行動に依存する方法では、この場面が構造的に発生します。
複数の講師の方が、お金のやり取りには神経を使うと語っていました。負担は作業時間ではなく、気持ちの側にあるということだと思います。
きちんとした教室という印象を持ってもらいにくい
もうひとつ、少し性質の違う声がありました。銀行振込だと、きちんとしている感じがしない、というものです。
これは業務効率とは関係のない話です。ただ、生徒の側に立って考えると理解できます。申し込みから支払いまでが画面上で完結するサービスに慣れている人にとって、口座番号を伝えられて自分で振り込む方式は、少し古い印象を与えるかもしれません。
決済手段が、教室としての信頼感の一部になっている。そういう感覚を持っている講師は、少なくないようです。
求めているのは集金の効率化ではなく、「お金の話をしなくて良い」仕組み
ここまで挙げた4つの問題を並べると、共通するものが見えてきます。
いずれも、支払いが生徒の行動に依存していることから生じています。生徒が振り込むまで確定しない。振り込まれなければ確認が必要になり、催促が必要になる。
したがって、振込の手間を減らすとか、催促の言い方を工夫するという方向では、根本的には解決しません。必要なのは、毎月お金の話をしなくて済む状態です。
具体的には、最初に一度だけ支払い方法を登録してもらえば、あとは自動的に決済が続く仕組みです。クレジットカードの継続課金がその代表になります。
話を聞いた講師の方も、月謝制そのものが目的ではなく、「お金の話をしなくていい仕組み」が欲しいのだ、という言い方をしていました。
この記事では以降、自動的に継続課金される仕組みがあるかどうかを評価の軸にして、4つの方法を見ていきます。
方法1 ストアカなどのマーケットプレイスの月額機能を使う
まず候補に挙がるのが、講師と生徒をつなぐマーケットプレイスを使う方法です。日本ではストアカが代表的です。
決済も会員管理も最初から揃っている
この方法の利点は明確で、必要な仕組みが最初から用意されていることです。
ストアカは講師の登録も講座の掲載も無料で、入会金や月額の固定費はかかりません。費用が発生するのは、実際に販売されたときだけです。決済も、申し込みの受付も、生徒とのメッセージのやり取りも、ストアカの中で完結します。
そして月額サービスという機能があり、月額課金での継続的な提供に対応しています。加入、課金、解約の手続きを管理できる仕組みです。教室やサークル、マンツーマンプログラムといった月謝制のサービスを想定した機能で、公式が挙げる用途例にもヨガや絵画教室、料理教室が含まれています。
ここは注意が必要な点があります。機能自体は2021年1月に提供が始まっていますが、登録している先生であれば誰でも提供できるようになったのは2026年7月1日からです。それ以前は制限がありました。月謝制に対応していないと説明している記事も見かけますが、以前の情報である可能性が高いと思われます。
自動で継続課金されるという条件は、この方法で満たせます。
ただし、生徒は自分の顧客にならない
一方で、構造上の制約があります。
ストアカの先生向けガイドラインでは、ストアカから外部サイトの予約申込口へ誘導する広告的な使い方と、ストアカを介さず受講料を直接参加者から徴収する行為が禁止されています。受講者向けの利用ガイドでも、講師との直接の取引やシステムを介さない決済を禁止すると明記されており、連絡先の交換を求められた場合は運営に相談するよう案内されています。
この設計には理由があります。決済がストアカを通ることで、講座が開催されなかった場合や講師と連絡が取れなくなった場合に、生徒は返金を受けられます。ストアカ補償という保険制度も用意されています。生徒の立場に立てば、重要な安心材料です。
ただ講師の側から見ると、意味が変わります。教えた生徒は、あくまでストアカのユーザーであって、自分の生徒にはなりません。仮に利用をやめれば、そこで築いた関係も手放すことになります。
外部で積み上げた実績が、価格や評価に反映されにくい
もうひとつ、同じ土俵に並ぶことによる影響があります。
同じジャンルの講師が同じ画面に並ぶため、レビューの件数や内容が直接比較されます。長く教えてきた実績があっても、ストアカ上での評価はゼロから始まります。
価格についても同様です。規約による制限はありませんが、比較される環境では相場観が形成されます。そこから大きく外れた価格は選ばれにくくなるため、実績のある講師も相場に合わせざるを得ない空気が生まれる、という話を聞きました。
このあたりの詳細は、講師から見たストアカの評判で整理しています。
まとめると、 決済と月謝の仕組みは手に入ります。その代わり、生徒との関係と価格の主導権は、自分の手元には残りません。
方法2 YouTubeなどのメンバーシップを使う
すでに動画で発信している講師であれば、YouTubeのメンバーシップを使う方法も考えられます。月額課金の限定コンテンツを提供できる機能です。
収益化の要件を満たすまでが遠い
ただし、この機能を使うには前提条件があります。YouTubeで収益化を有効にするには、チャンネル登録者1,000人以上、かつ直近12か月の公開動画総再生時間4,000時間以上という要件を満たす必要があります。
この条件を満たさない限り、メンバーシップは使えません。話を聞いた運営者の方によれば、1年間コンスタントに投稿を続けても届かない人は珍しくないとのことでした。
月謝を受け取る手段を探している段階の講師にとって、ここから始めるのは遠回りになります。
無料の視聴者が有料会員になる割合は高くない
要件を満たした後にも、別の壁があります。
弊社が取材した、教育系コンテンツを配信しているチャンネル運営者の数字を紹介します。この方のチャンネル登録者は5,000人を超えていますが、メンバーシップの加入者は20人前後です。
無料で見てくれる視聴者のうち、有料会員になる人の割合は、想像よりずっと小さいということになります。
サブスクの仕組みがあっても、継続するとは限らない
さらに示唆的なのが、その内訳です。
同じ運営者の方は、メンバーシップを始めておよそ1年、開始当初から会員数がほとんど変わっていないと語っていました。開始時が20人程度で、現在も20人前後。毎月数人が新しく加入する一方、ほぼ同じ人数が抜けていくためです。
この間、チャンネル登録者は2,000人台から5,000人規模まで増えています。それでも会員数は動きませんでした。
ここから分かるのは、月額課金の仕組みがあることと、生徒が続けてくれることは別の話だということです。サブスクリプション課金は支払いを自動化する仕組みであって、続ける理由そのものを作ってくれるわけではありません。
まとめると、 自動課金という条件は満たせますが、そこに到達するまでの条件が厳しく、到達しても月謝として安定するとは限りません。すでに大きなチャンネルを持っている場合を除けば、月謝の手段としては現実的ではないと思います。
方法3 決済サービスを自分で導入する
3つ目は、決済サービスや決済代行サービスを自分で契約する方法です。月謝の集金について検索すると、最も多く紹介されているのがこの選択肢です。
クレジットカードの継続課金なら、自動化は実現できる
目的そのものは、この方法で達成できます。
クレジットカードの継続課金に対応したサービスを使えば、最初に一度カード情報を登録してもらうだけで、毎月自動的に決済されます。入金確認も、督促も、原則として不要になります。
生徒側の手続きも、オンラインで完結します。書類のやり取りは発生しません。
前半で挙げた4つの問題は、この方法でほぼ解消します。
口座振替は導入までに1か月から2か月かかる
同じ自動化でも、口座振替は性質が異なります。
口座振替は、生徒の銀行口座から自動的に引き落とす方式です。手数料はクレジットカードより低く抑えられる傾向があります。カードを持っていない生徒にも対応できる点も利点です。
ただし導入は重くなります。生徒に口座振替依頼書を記入・捺印してもらい、銀行に提出する必要があります。登録が完了するまでに1か月から2か月程度かかるとされており、その間は別の方法で集金しなければなりません。
生徒の入れ替わりがある教室では、この手続きが入会のたびに発生します。個人規模で運用するには、やや負担が大きいかもしれません。
決済が解決しても、申し込みと会員管理は残る
そして、この方法の最も大きな制約がここです。
決済サービスは、決済を解決します。それ以外は解決しません。
生徒に申し込んでもらうページは、別に用意する必要があります。誰がいつから受講していて、誰が退会したのかという管理も、自分で行うことになります。レッスンの動画や資料を渡す場所も別です。日程の調整も別です。
結果として、決済はこのサービス、動画はこちら、連絡はメールやLINE、という構成になっていきます。
これは講師にとって管理が煩雑なだけでなく、生徒にとっても分かりにくい状態です。どこで申し込んで、どこで支払って、どこで受講するのかが、ばらばらになります。手続きが煩雑だと感じられると、続ける意欲そのものが下がることもあります。
まとめると、 自動課金は確実に実現できます。ただし費用は規模によって割高になりやすく、決済以外の部分は自分で組み立てることになります。
3つの方法に共通して残るもの
ここまで3つの方法を見てきました。性質はそれぞれ違いますが、残るものには共通点があります。
ストアカなどのマーケットプレイスを使う方法では、決済も管理も揃う代わりに、生徒との関係と価格の主導権が自分の手元に残りません。
Youtubeのメンバーシップを使う方法では、そもそも入り口の条件が厳しく、たどり着いても月謝として安定しにくい。
決済サービスを導入する方法では、決済は解決しますが、申し込みと会員管理と講座の提供が別立てで残ります。
整理すると、月謝の仕組みだけを切り出して解決しようとすると、講座の提供と生徒の管理がどこかに残るということです。あるいは、それらを引き受けてもらう代わりに、生徒との関係を手放すことになります。
では、その両方を満たす方法はないのでしょうか。
申し込みから決済、講座の提供までを1か所で完結させる
4つ目の選択肢が、オンライン講座を自作できるサービスです。決済を単体の機能としてではなく、講座運営の一部として内包しているサービス群を指します。
オンライン講座を自作できるサービス
海外製のサービスが中心ですが、日本からでも利用できます。月額数千円から1万円台程度の価格帯が中心です。
こうしたサービスでは、次の機能がひとつの管理画面にまとまっています。
- 講座の紹介ページと申し込みフォーム
- 決済(単発、月額課金、分割など)
- 会員管理と受講状況の把握
- 動画や資料の配信
- ライブレッスンの実施
生徒から見れば、申し込みから支払い、受講までが同じ場所で完結します。ログインする場所はひとつです。前の章で挙げた、ツールが分散することによる分かりにくさは発生しません。
月額課金も買い切りも、自分で設計できる
料金の形も自分で決められます。月額課金だけでなく、単発の買い切り、複数講座をまとめたバンドル、無料の体験講座といった形を組み合わせられます。
全員を月謝制に統一する必要はありません。入門的な内容は買い切りで販売し、継続的に学びたい生徒には月額を用意する、といった設計も可能です。決められたフォーマットに合わせる必要がない点は、個人の教室にとって扱いやすいところだと思います。
生徒との関係は自分の側に残る
そして、生徒は自分の顧客になります。
連絡先を持てますし、別の講座を案内することも自由です。サービスを乗り換えることになっても、生徒との関係そのものは残ります。
費用については、多くのサービスが月額のプラン料金という形を取っています。売上に対する手数料は発生しない、あるいは非常に低く抑えられているのが一般的です。生徒が増えても支払う金額は変わりません。
その代わり、売上がゼロの月でも固定費は発生します。ここは決済サービスと同じ考え方で、自分の規模に照らして判断する必要があります。
なお、日本から利用する場合は、決済にStripe(ストライプ)などの外部サービスを接続する形になることがあります。この場合、オンライン講座作成サービスの月額料金に加えて、決済サービス側の手数料が別途かかります。
こうしたプラットフォームの選び方や、生徒が継続する仕組みの作り方については、個人講師がオンライン講座で行き詰まる理由と、生徒が積み上がる仕組みの作り方で詳しく整理しています。
どの方法が向いているかは、何をしたいかで変わる
4つの方法を見てきましたが、どれが優れているという話ではありません。何をしたいかによって、適した方法は変わります。
対面レッスンが中心で、決済だけ何とかしたい場合
すでに対面で教えていて、生徒も安定している。困っているのは集金の部分だけ。この場合は、決済サービスの導入で十分です。
講座の提供はこれまで通り対面で行うので、動画配信や会員管理の仕組みは必要ありません。決済だけを切り出して解決するのが、最も無駄がない選択になります。
クレジットカードの継続課金に対応したサービスを選び、生徒数と月謝額から総額を試算して比較してください。
すでに生徒がいて、オンラインに移行したい場合
対面で教えていた生徒を、オンラインに移したい。あるいは引っ越しなどで通えなくなった生徒と続けたい。この場合は、決済だけでは足りません。
レッスンをどこで行うか、教材をどこに置くか、受講状況をどう管理するかが同時に発生します。ばらばらのツールで組むと、生徒側の負担が増えます。
オンライン講座を自作できるサービスで一式をまとめるか、少なくとも決済と受講の場所は揃えることを検討したほうがよいと思います。
オンライン講座として組み立てたい場合
動画教材を作り、順を追って学べる形にしたい。生徒を増やしていきたい。この場合は、オンライン講座自作サービスが前提になります。月謝の仕組みは、その中の一機能として含まれます。決済をどうするかという問いは、この段階では主要な論点ではなくなります。
補足として
ストアカ等のマーケットも、選択肢から外す必要はありません。単発の体験講座を入り口として使い、継続的に学びたい生徒には自分の受け皿を用意する、という並行運用も考えられます。ただし外部への誘導が規約で禁止されている場合があるため、ルールを確認したうえで進めてください。
まとめ
オンラインレッスンの月謝を受け取る方法として、4つを見てきました。
銀行振込がしんどいのは、作業の手間だけが理由ではありません。いつ入金されるか分からない不確実さと、督促を切り出しにくいという気持ちの負担が、実際には大きく効いています。
したがって必要なのは、集金の効率化ではなく、毎月お金の話をしなくて済む仕組みです。自動的に継続課金される形が、その答えになります。
その実現方法は複数あります。ストアカなどマーケットプレイスの月額機能を使う方法、YouTubeのメンバーシップを使う方法、決済サービスを自分で導入する方法。それぞれ自動課金という条件は満たしますが、生徒との関係を手放すことになったり、決済以外の部分が別立てで残ったりします。
もうひとつの選択肢が、申し込みから決済、講座の提供までを内包したオンライン講座ツールです。必要な機能が全て揃っており、生徒との関係も自分の側に残ります。
どれを選ぶかは、対面が中心なのか、オンラインに移行したいのか、講座として組み立てたいのかによって変わります。今の状況と、これからやりたいことの両方に照らして選んでみてください。

