AIを使えば業務を効率化できる。そんな話を耳にしても、自社のどの仕事に使えるのか、具体的には思い浮かばないことがあります。情報漏えいや回答の間違いも気になり、導入に踏み切れない企業もあるでしょう。
ですが、AIの使い道を見つける最初の一歩は、日常業務にある「ちょっと面倒」です。
例えば、「あれ、どうなってましたっけ?」と聞かれて、メールやチャットを探し直す。お客様への回答を用意するために、過去の履歴や社内資料を行き来する。こうした身近な作業にも、AIに手伝ってもらえる部分があります。
この記事では、社内の状況確認とお客様対応を例に、AIの使い道を具体的に考えます。今使っているツールの見直しも含め、自社で試すための第一歩を整理していきましょう。
AIの使い道は、日常業務の「ちょっと面倒」から見つけられる
「AI導入」と聞くと、業務全体を自動化したり、社員が新しいAIツールを使いこなしたりする姿を想像するかもしれません。
しかし、一つの業務を細かく見てみると、その中には情報を探す、記録を読む、内容を整理する、文章にするといった作業があります。すべてをまとめて任せなくても、時間のかかる部分を一つ手伝ってもらう使い方ができます。
たとえば、お客様への回答に時間がかかっている場合、文章を書くことより、回答に必要な情報を集めることに手間がかかっているのかもしれません。その場合は、情報を探して整理する作業からAIの活用を考えられます。
どの仕事にもある小さな手間を具体的にしていくと、自社で試したい使い道が見えてきます。
「あれ、どうなってましたっけ?」に答える手間を減らす
短い確認の裏には、探す・読み直す・説明し直す作業がある
「あの案件、今どこまで進んでいましたっけ?」
「前の会議で、この件はどうすることになりましたか?」
日常の仕事では、こうした確認が繰り返されます。休暇から戻ったスタッフが、不在中の動きを把握するために聞くこともあるでしょう。
聞くのは一言でも、答える側はすぐに返せるとは限りません。いったん手を止め、メールやチャットを探し、議事録を読み直してから状況を説明することもあります。
確認そのものは、仕事を正しく進めるために必要です。ただ、同じ経緯を何度も探し直し、その都度説明することには手間がかかります。聞かれた人が不在なら、答えがわかるまで仕事が止まってしまうこともあります。
残っている記録から、経緯や決定事項をつかむ手助けをしてもらう
こうした場面では、チャットや議事録などの記録をもとに、経緯や決定事項を整理するAI機能が役立つ可能性があります。業務用チャットには、会話を要約して状況把握を助ける機能も提供されています。
たとえば、案件に関するやり取りから「何が決まったか」「何が保留になっているか」「次に誰が何をする予定か」を整理できれば、状況をつかむ足がかりになります。休暇中の会話も、概要を確認してから必要な箇所を詳しく読むようにすれば、最初からすべてを追う負担を減らせます。
ここで大切なのは、AIによる整理と、元の記録を行き来できることです。重要な納期や決定事項は、参照元の日時や発言も確かめます。「検討中」が「決定済み」になっていないか、後のやり取りで変更されていないかも確認が必要です。
AIの回答だけで完結させようとするより、必要な記録に早くたどり着く手助けとして使うと、試しやすいでしょう。
お客様対応は、情報をそろえて伝える作業からAIを活用できる
回答するまでには、履歴・条件・社内ルールの確認がある
顧客対応へのAI活用というと、お客様と直接やり取りするチャットボットを思い浮かべる方もいるでしょう。自社のお客様への応対を任せることには、不安を感じる場合もあります。
そこで、担当者が回答を用意するまでの作業に目を向けてみます。
たとえば、商品の返品について問い合わせを受けたとします。担当者は、購入日や対象商品、これまでのやり取りを確認します。返品条件や社内の対応方針を調べ、必要に応じて他の担当者にも確認するでしょう。
そのうえで、今回案内する内容を決め、メールや電話で伝わる言葉にします。
このように分けると、顧客対応には、事実確認・情報収集と、その内容を言語化する作業が含まれていることがわかります。それぞれの作業に、AIを活用する余地があります。
情報収集と文章化の支援で、対応のばらつきを減らす
顧客対応ツールなどには、過去の対応履歴を要約したり、社内のナレッジから回答の参考情報を探したりするAI機能があります。
履歴の要点を整理できれば、別の担当者が引き継ぐ際にも、経緯を把握しやすくなります。社内資料を参照する機能なら、問い合わせに関係する条件や手順を探す手助けになります。
必要な情報を確認した後は、その内容をもとに回答案を作る使い方もあります。説明の順序を整えたり、専門的な表現をわかりやすくしたりと、伝え方の準備を支援してもらえます。電話で回答する場合も、伝える要点を整理しておくことは役立ちます。
こうした支援は、対応品質のばらつきを減らす助けにもなります。経験の浅いスタッフでも、共通の情報や方針を参照しやすくなれば、必要な確認や説明の抜けを防ぎやすくなるからです。
ただし、AIがまとめた情報や回答案に誤りがないとは限りません。返品の可否などの判断や、お客様に伝える条件は担当者が確認します。特に、記録にない事実や未承認の対応を、回答案が勝手に加えていないかは注意したいところです。
自社で試すなら、作業・情報・ツールの順に見直す
面倒な業務を細分化し、試す作業を一つ選ぶ
まずは、現場で繰り返している「ちょっと面倒」を挙げてみます。
「顧客対応を効率化したい」だけでは、どこから手をつけるか決まりません。「担当者が変わるたびに対応履歴を読み直している」「回答の根拠になる社内ルールを探すのに時間がかかる」まで具体的にすると、試したい作業が見えてきます。
最初は、対象を一つに絞ると効果を確かめやすくなります。たとえば、ある種類の問い合わせについて、履歴の要約を試す方法が考えられます。
試した後は、AIの処理速度だけでなく、確認や修正も含めて楽になったかを振り返ります。履歴を探す時間が減ったか、引き継ぎがしやすくなったか、説明の抜けが減ったか。実際にその仕事をする人の感触も、続けるかどうかの判断材料になります。
必要な情報を、AIが参照できる状態にする
AIを使うには、その作業に必要な情報を参照できることが前提になります。
会議の決定事項が記録されていなければ、記録を検索するAIも答えを見つけられません。返品条件の資料が古ければ、古い条件を案内するおそれがあります。
まずは、必要な記録がどこにあるか、最新の情報になっているかを確認します。すべての社内情報を一度に整理しようとせず、試す作業に必要な範囲から整えるとよいでしょう。
あわせて、AI機能が参照する情報の範囲や閲覧権限、入力データの保存・学習利用などの条件を確認します。実際に、AI機能のデータ保持条件がプランや機能によって異なるサービスもあります。
普段使っているツールの機能であっても、AI利用時のデータの扱いは確認が必要です。社内で利用する機能と扱える情報を決め、担当者の判断だけで顧客情報などを別のAIサービスへ持ち出さないようにします。
今使っているツールに、役立つAI機能がないか確認する
AIを使い始める方法は、新しい対話型AIの契約だけではありません。チャット、情報共有、顧客対応など、業務で利用するSaaSにもAI機能が搭載されています。
すでに記録が蓄積されているツールで必要な機能を使えれば、情報を別の場所に移す手間を抑えて試せる場合があります。
確認するときは、「AI搭載」という表示から、具体的な機能まで見てみましょう。自社が減らしたいのが履歴を読み直す手間なら、履歴の要約機能があるか。社内資料を探す手間なら、必要な資料を参照して検索・回答できるかを確かめます。
利用できる契約プランや追加料金、管理者の設定、対象となるデータも確認が必要です。使いたい情報を参照できるとは限らないため、機能の説明やサポート窓口で確かめるとよいでしょう。
クラレボでも、こうした業務改善に活用できるAI搭載SaaSを多数取り扱っています。使っているツールで対応できるか、新しいサービスが必要かも含め、業務の内容から相談できます。
AI導入の第一歩は、身近な手間を一つ見直すことから
「あれ、どうなってましたっけ?」に答えるための履歴確認や、お客様への回答準備。普段の仕事を細かく見ていくと、情報を探す、読み直す、整理して伝えるといった作業があります。
まずは、その中から手間のかかっている作業を一つ選び、必要な情報を整えて、今使っているツールのAI機能を確認してみましょう。小さく試し、確認や修正も含めて仕事がしやすくなるかを確かめることが、導入を考える第一歩になります。
「こんな業務をAIで効率化・改善できないか?」というご相談も、クラレボへお気軽にお寄せください。具体的なサービスが決まっていない段階から、使い道を一緒に考えていきます。


