この記事でわかること
- 海外のサービスの支払いが、なぜカード決済を前提にしているのか
- カードが使えない事情があるとき、どこで詰まるのか
- 請求書での支払いという選択肢と、その現実的な条件
- 支払い方法によって、運用の何が変わるのか
使いたいサービスは決まった。機能も合っている。ところが、支払いの段階で止まってしまう。──学校法人や医療法人、自治体に関わる仕事、あるいは社内の決まりでカードが持てない組織では、これが最後の壁になります。
この記事では、支払い方法のしくみと、詰まったときの進め方を整理します。金額はサービスごとに違いますので、ここでは扱いません。
1. 基本はカード決済
海外のクラウドサービスの多くは、クレジットカードでの支払いを前提に作られています。理由は、しくみを考えると分かります。
- 毎月または毎年、自動で引き落とす必要がある。そのたびに請求書を送って入金を待つ形だと、手間が合いません
- 世界中の利用者を、同じしくみで扱いたい。国ごとに振込の方法が違うと、対応しきれません
- 申し込みから利用開始までを、その場で完結させたい。入金の確認を待つと、すぐに使い始められません
つまり、カード決済は「サービス側の都合」で選ばれているということです。日本の利用者を軽く見ているわけではありません。ここを理解しておくと、交渉のしかたも変わってきます。
使えるカードの種類
国際的に使える主要なブランドであれば、たいてい通ります。ただし、デビットカードやプリペイドのカードは、断られることがあります。継続して引き落とす契約に使えない設定になっている場合があるためです。
また、法人名義のカードでも、海外での利用が止められている設定になっていることがあります。申し込む前に、カードの発行会社に「海外のサービスの継続課金に使えるか」を確認しておくと確実です。
2. カード決済が使えないと、何が起きるか
カードが用意できない、あるいは通らない場合、次のような形で行き詰まります。
申し込みの最後の画面で止まる
無料で試すところまでは進めても、有料に切り替える段階でカード情報の入力を求められ、そこから先へ進めません。試用の期限だけが過ぎていく、という状態になりがちです。
試用の申し込みにもカードが必要なことがある
無料で試す場合でも、最初にカードの登録を求めるサービスがあります。この形だと、そもそも試すことすらできません。試用の条件は、申し込む前に確かめてください。
決済が通らず、原因が分からない
エラーの表示だけでは、カード側で止められたのか、サービス側で弾かれたのかが分かりません。この場合は、まずカードの発行会社に問い合わせてください。海外での利用を制限する設定が入っているだけ、ということがよくあります。
3. 請求書での支払いという選択肢
カード以外の方法として、請求書を発行してもらい、銀行振込などで支払う形があります。英語では「invoice」「wire transfer」「bank transfer」といった言葉で説明されています。
ただし、この方法は誰でも選べるわけではありません。一般には、次のような条件がつくことが多いようです。
- 上位のプラン、あるいは法人向けの契約に限られる
- 年ごとの支払いに限られる(月ごとでは受け付けない)
- 一定の規模以上の契約に限られる
- 営業の担当者と話をしたうえで、個別に決める形になる
ここは推測を含みます。当社は、個別のサービスの条件を一つひとつ確かめたわけではありません。条件はサービスごとに違いますし、変わることもあります。実際に可能かどうかは、必ずそのサービスに直接お問い合わせください。
問い合わせるときの伝え方
「カードが使えないので無理です」で終わらせず、事情を添えて聞いてみてください。伝えるとよいのは、次の点です。
- 組織の決まりで、カードでの継続的な支払いができないこと
- 銀行振込であれば支払えること
- 年ごとの支払いでも構わないこと(可能な場合)
- どのくらいの規模で使う見込みか
断られることもありますが、聞いてみる価値はあります。公開ページに書かれていなくても、個別に応じてもらえることがあります。
4. 請求書払いを選ぶときに確かめておきたいこと
請求書での支払いに切り替えられることになったら、進める前に次を確認してください。
- 請求書の宛名を、法人名にしてもらえるか。経理の処理で必要になります
- 請求書に何が書かれるか。社内の様式に足りない項目があると、差し戻されます
- 支払いの期限はいつか。海外の商習慣と、自社の支払いサイクルが合うかを見ます
- 振込にかかる手数料を、どちらが負担するか。ここは先に決めておかないと、金額が合わなくなります
- 入金が確認されるまでの日数。海外送金は時間がかかります。利用開始が遅れることを見込んでおきます
- 更新のときの流れ。次の年も同じ手続きが必要か、自動で請求書が届くのかを確かめます
4番目と5番目は、社内で問題になりやすいところです。「請求された金額と、実際に相手に届いた金額が違う」という食い違いは、手数料の負担を決めていないときに起こります。
5. 支払い方法によって変わること
どちらを選ぶかで、日々の運用も変わります。
カード決済の場合
手続きは楽ですが、止め忘れが起きやすいのが弱点です。自動で引き落とされ続けるため、使っていなくても気づきません。また、カードの有効期限が切れたときに支払いが失敗し、サービスが止まることがあります。カードを更新したら、登録し直すのを忘れないでください。
請求書払いの場合
止め忘れは起きにくくなりますが、手続きに人手がかかります。毎回の振込作業と、経理での処理が発生します。また、入金が遅れるとサービスが止まることがあるため、期限の管理が必要です。
どちらでも共通して必要なこと
契約している海外サービスの一覧を、社内に1枚作っておいてください。サービス名、明細に出る名前、支払い方法、更新の時期、担当者を並べたものです。担当が代わったときに、これがあるかどうかで大きく差がつきます。
なお、税や会計上の扱いについては、自社の顧問税理士にご確認ください。海外への支払いの処理は、社内の決まりによって変わります。
6. 支払いの担当と、ログインする人を分けて考える
最後に、運用が長く続く組織ほど効いてくる話を書きます。お金を払う人と、実際に画面を触る人は、たいてい別です。ところが、海外のサービスでは、この2つが同じアカウントにまとまってしまいがちです。
起きやすい困りごと
- 領収書を出したいが、その画面に入れるのが現場の担当者だけになっている
- 逆に、経理の担当者しか入れず、日々の運用の設定が変えられない
- 最初に申し込んだ人が異動し、支払いに関する画面へ誰も入れなくなる
できる範囲での備え
サービスによっては、利用する人ごとに役割を分けられます。「支払いに関する画面だけ見られる人」を作れるなら、経理の担当者をそこに入れておくと安全です。分けられない場合は、申し込みに使うメールアドレスを共有のものにしておくのが、いちばん簡単な備えになります。
あわせて、領収書や請求書がどこからダウンロードできるかを、最初のうちに確かめて記録しておいてください。必要になるのは決算の時期で、そのときに探し始めると間に合いません。
まとめ
- 海外のサービスは、カード決済が基本になっている
- カードが使えない事情があるなら、まず発行会社に設定を確認する
- それでも難しければ、請求書での支払いが可能か、直接問い合わせる
- 請求書払いになったら、宛名・期限・手数料の負担・入金までの日数を先に決める
- どちらの方法でも、契約の一覧を社内に残しておく
支払い方法で止まってしまうのは、もったいないことです。公開されている案内に書かれていなくても、聞いてみると道が開くことがあります。
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