海外SaaSが不安なあなたへ|確認の手順

海外SaaSが不安なあなたへ|確認の手順
目次

この記事でわかること

  • 海外のサービスを使うときの「不安」の正体を、言葉にする方法
  • 契約する前に、自分で確かめられることは何か
  • どれだけ調べても分からないことは何か
  • いきなり全部を任せない、という始め方

海外で作られたクラウドサービスを使ってみたい。けれど、画面は英語で、日本語の説明はほとんど見つからない。契約してしまって大丈夫なのか、判断がつかない。

この記事は、そういう場面で立ち止まっている方に向けて書いています。不安をなくす魔法はありませんが、不安を「確かめられること」と「確かめられないこと」に分けることはできます。分けてしまえば、判断はぐっと楽になります。

1. 何が不安なのか、まず言葉にする

「なんとなく不安」のままでは、調べようがありません。まず、頭の中にあるもやもやを、紙に書き出してみてください。多くの場合、次のどれかに当てはまります。

お金まわりの不安

いくらかかるのか分からない。いつ請求されるのか分からない。気づかないうちに自動で更新されるのではないか。やめたいときにやめられるのか。──こうした不安です。

言葉の不安

管理画面が英語だと、設定を間違えそうで怖い。困ったときに問い合わせができるのか。返事が英語で来たら読めるのか。──これも、よくある不安です。

データの不安

お客さまの名前やメールアドレスを、海外の会社に預けることになる。それは大丈夫なのか。あとから自分の手元に取り戻せるのか。──これは、社内で説明を求められたときに、いちばん答えにくい不安かもしれません。

続くかどうかの不安

そのサービスが来年もあるのか。急に仕様が変わって、使えなくなるのではないか。──これは、長く使うつもりの仕組みほど、重くのしかかります。

ここまで書き出せたら、次の作業に進めます。4つのうち、どれが自分にとって重いのかに印をつけてください。全部を同じ強さで心配し続けるのは、体力の無駄です。

2. 契約前に確認できることは何か

意外に思われるかもしれませんが、契約しなくても確かめられることは、かなりあります。順番に見ていきます。

料金ページの「単位」を確かめる

金額そのものより先に、何を数えて課金されるのかを見てください。利用する人の数なのか、登録されている顧客の数なのか、送った回数なのか。ここが分かると、自社で使ったときに増えていくのか、変わらないのかが見えてきます。

あわせて、月ごとの支払いと年ごとの支払いのどちらが選べるか、その表示が切り替え式になっていないかも見ておきます。表示を切り替えたつもりがないのに、年払いの前提で数字が出ていることがあります。

無料で試せる範囲を確かめる

「無料プラン」と「無料トライアル」は別のものです。前者はずっと無料で使い続けられる代わりに機能が絞られています。後者は期限つきで、期限が来たら止まるか、有料に切り替わります。どちらなのかを、申し込む前に読み分けてください。

解約の説明がどこにあるかを確かめる

ヘルプページで「cancel」「subscription」といった言葉を検索してみてください。解約の手順がきちんと書かれているサービスは、それだけで安心材料になります。逆に、探しても出てこない場合は、その事実を記録しておきます。

日本語がどこまで用意されているかを確かめる

紹介ページに「日本語対応」と書いてあっても、それが管理画面のことなのか、お客さま向けの画面のことなのか、サポート窓口のことなのかは分かりません。実際の画面を見せているスクリーンショットや、ヘルプページの言語切り替えを見て、確かめられる範囲を確かめます。

問い合わせ窓口の形を確かめる

メールだけなのか、チャットがあるのか、電話があるのか。返事までの目安が書かれているか。窓口が「よくある質問を読んでください」の一枚しかない場合は、困ったときに時間がかかると考えておいたほうが安全です。

画面をそのまま残しておく

確かめたページは、スクリーンショットで残してください。海外のサービスは、案内の書き方が変わることがあります。「申し込んだときはこう書いてあった」を自分の手元に持っておくと、あとで話が食い違ったときに助かります。

3. 確認しても分からないことは何か

ここからは正直に書きます。次のことは、公開されている情報を読むだけでは分かりません。

  • そのサービスが何年続くか。大きな会社でも、一部のサービスをたたむことはあります。
  • 実際のサポートの速さと質。「24時間以内に返信」と書いてあっても、そのとおりかどうかは、使ってみるまで分かりません。
  • 自社のやり方に合うかどうか。機能の一覧を読んでも、自社の手順に当てはめたときに詰まる場所までは見えません。
  • 日本語で書いたときの表示崩れ。文字が入りきらない、改行がおかしくなる、といったことは、入れてみないと分かりません。

これらについて、当社は実際の画面で確かめていません。ここに書いたことは推測です。「たぶん大丈夫だろう」と自分に言い聞かせるのではなく、「ここは確かめていない」と手元のメモに書いておいてください。それが、あとで判断を見直すときの手がかりになります。

社内で説明するときも同じです。分からないことを分からないと言えたほうが、あとで信頼を失いません。

4. 小さく始める、という選択肢

調べても分からないことが残るなら、分からないまま、小さく試すのが現実的です。次の順で進めると、失敗しても傷が浅くて済みます。

担当を一人にしぼって試す

いきなり全社で使い始めないでください。まず一人が触って、つまずいた場所を書き留めます。その記録が、社内に広げるときの説明書になります。

本番のデータを全部は入れない

試す段階では、お客さまのデータを丸ごと移さないほうが安全です。少しだけ入れて、日本語がきちんと表示されるか、書き出したときに元に戻せるかを見ます。

やめるときの手順を、始める前に決めておく

「合わなかったら、いつまでに、誰が、どうやってやめるか」を先に決めておきます。始めるときに決めておかないと、なんとなく続けてしまい、使っていないのに支払いだけが残ります。

期限をカレンダーに入れる

試用の期限は、申し込んだその日にカレンダーへ入れてください。数日前にも通知が来るようにしておくと安心です。期限を過ぎてから気づく、という事故がいちばん多いためです。

5. 困ったときの相談先

ひとりで抱えないための道筋を、いくつか挙げます。

  • サービス提供元のサポート窓口。英語でも、短い文で用件だけ書けば通じます。うまく書く必要はありません。
  • 公式のヘルプページ。まず読むべき場所です。検索の言葉を英語にすると見つかりやすくなります。
  • 社内の情報システム担当。データの取り扱いについては、自社の決まりを知っている人に相談するのが早道です。
  • 顧問の税理士や社会保険労務士、弁護士。契約や支払いの扱いで迷ったときは、専門家に確認してください。

「英語で問い合わせる」と聞くと身構えてしまいますが、実際には、状況を短く書いて送るだけで足ります。丁寧な言い回しよりも、何が起きているかが正確に伝わることのほうが大切です。

まとめ

海外のサービスへの不安は、消そうとすると消えません。かわりに、次のように扱ってみてください。

  1. もやもやを、お金・言葉・データ・継続の4つに分けて書き出す
  2. 契約前に確かめられることを、順番に確かめて記録する
  3. 確かめられなかったことは、確かめていないと書き残す
  4. 小さく試して、やめ方を先に決めておく
  5. 迷ったら、窓口と社内と専門家に分けて相談する

不安が残ったまま契約するのは危険です。けれど、不安がゼロになるまで待っていると、いつまでも始められません。確かめられるところまで確かめて、残りは小さく試す。この形が、いまのところ現実的な進め方だと考えています。

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